準公共をデザインする 〈公〉と〈私〉が溶けあう居場所の実践
在庫あり (1)
目次
はじめに-準公共のデザインとは何か
矢島進二
・なぜ「準公共」という領域に着目したのか
・「公」と「民」が重なりあうようになった背景
・「準公共」の実践の現場を巡る
・本書の構成
Chapter 01
まほうのだがしや チロル堂(奈良県生駒市)
資本主義を減速させる“まほう”の発明
吉田田タカシ/石田慶子/坂本大祐
・3人の必然的な出会い
・子ども食堂の境界を超える
・飲食店にしてはいけない理由
・デザインを排除したデザイン
・まほうの仕組みのバランスのとり方
・まほう使いになってほしい人
・地域と福祉の間にある唯一無二の場所
・他への展開を考えたオープンソース化
・地域への浸透と新しい挑戦
・準公共とは、まちとつながり直すこと
・まほうの仕組みは資本主義を減速させる装置
・アフタートーク:公共性を取り戻す逆説的なデザイン
Chapter 02
MIA MIA(東京都豊島区)
東長崎のコーヒー店に多くの人が集まる理由
アリソン理恵/ヴォーン
・日本にはないコーヒー店を始める
・全員80代の職人が集まり工事が始まる
・モノをつくる瞬間を共有した強さ
・プロジェクトが生まれるきっかけの場
・「まちは誰のもの?」と思って始めた「まちの営繕」
・個性的な店が増えて、変わり始めたまち
・コモンズをつくる練習をする場
・アフタートーク:MIA MIAが放つ“パブリック性”
Chapter 03
笹塚十号のいえ(東京都渋谷区)
“屋根のある公園”のような地域の居場所
戸所信貴/左京泰明
・「笹塚十号のいえ」をつくった理由
・10団体で運営するスイミーモデル
・民間主体による地域福祉の実践
・「屋根のある公園」というコンセプト
・日常のなかで気軽にひと休みできる場
・行政との理想的な関係
・官でも民でもない「もうひとつの」
・アフタートーク:公と民の狭間にある課題と可能性
Chapter 04
「団地キッチン」田島(埼玉県さいたま市)
“食”で団地をまちにひらく
中野瑞子/上野雅佐和
・団地管理会社が食のプロジェクトを始めた理由
・初めてのシェアキッチンと酒づくり
・約90万戸を管理する住まいのインフラ企業
・団地は日本社会の縮図
・シェアキッチンで小商いをスタート
・マルシェの効果と広がり
・コミュニティマネージャーの役割
・周囲に開かれ、緩やかにつながる団地の未来
・団地は準公共的空間=コモンスペースの宝庫
・アフタートーク:団地から社会の価値観を変える可能性
Chapter 05
シェルターインクルーシブプレイス コパル(山形県山形市)
すべての子どもにひらかれた遊び場
色部正俊
・すべてが公園のような建築
・ユニバーサルデザインではなく、インクルーシブデザイン
・遊びを触発する、建築・外構・遊具が一体となったデザイン
・目標を上回る利用者数と高いリピート率
・遠方からの移住も決意、働きがいのある職場
・市民参加の仕組みもデザイン
・公共の安心感と、民間の柔軟さと
・アフタートーク:インクルーシブなプロセスが生んだ豊かな空間
Chapter 06
東遊園地(兵庫県神戸市)
市民のアウトドアリビングとなる公園
村上豪英
・まちに貢献できる仕事を求めて
・社会実験を経てPark-PFI事業者へ
・市民のための良い公園とは?
・誰もが公園に関われるデザイン
・集客より、公園の価値を上げられる活動を
・理想的な公園を共有できたからこそ生まれた風景
・アフタートーク:自分のまちを自分事として捉える
Chapter 07
馬場川通り アーバンデザインプロジェクト(群馬県前橋市)
市民の寄付で公共空間を再生、ビジョナリーなスキームデザイン
日下田伸/平賀達也
・民間の寄付で行う公共工事
・前例のない官民連携のスキームを構築
・具体的な空間でアーバンデザインを市民に提示
・安全性と快適性の両立を目指した行政の英断
・市民にパブリックマインドの息づく前橋
・プロジェクトの成果とその後の展開
・プライベートとパブリックの境界を曖昧にする
・アフタートーク:準公共のモデルがここにあった
Chapter 08
morineki(大阪府大東市)
市営住宅に公共と民間の“曖昧な境界”をデザインする
入江智子/大島芳彦
・民間主導による国内初の公民連携プロジェクト
・オガールプロジェクトをモデルにした公民連携プロセス
・市民とのデザイン会議の進め方
・公共サービスを市民、民間と一緒につくる
・パブリックとプライベートの境界を曖昧にする
・消費者ではなく、当事者になってもらうための余白をつくる
・アフタートーク:morinekiが提示する“曖昧な境界”
Chapter 09
盛岡バスセンター(岩手県盛岡市)
閉鎖されたバス発着拠点を地域のハブとして再生
小笠原康則/岡崎正信
・盛岡初の民間主導の公民連携事業
・公共と民間の境界を曖昧にした建築デザイン
・交通の結節点から、人と地域をつなぐ“ローカルハブ”へ
・公民連携の成功のポイント
・ニューヨーク・タイムズ紙が「行くべきまち」に選出
・市民が参加し、パブリックマインドが育つ場所
・アフタートーク:公民連携事業を失敗させないスキームデザイン
Chapter 10
デジタル庁(東京都千代田区)
なぜ、準公共に注力するのか
浅沼尚
・準公共の定義と意義
・民間のデザイナーからデジタル庁へ
・世界でも稀有な民間出身者と行政官のハイブリッド省庁
・次世代の行政組織を目指す
・準公共分野における具体的な取り組み
・誰一人取り残さないデザインシステム
・デザイナーの新たな役割と哲学
ページ数
224
判型
四六判
著者プロフィール
矢島 進二(編著)
公益財団法人日本デザイン振興会常務理事。1962年生まれ。1991年に現職の財団に転職。グッドデザイン賞をはじめ、東京ミッドタウン・デザインハブ、地域デザイン支援など多数のデザインプロモーション業務を担当。武蔵野美術大学、九州大学大学院、東京都立大学大学院で非常勤講師。毎日デザイン賞調査委員。マガジンハウス「こここ」で福祉とデザインを、月刊誌『事業構想』で地域デザインやビジネスデザインをテーマに連載を執筆。「経営とデザイン」「地域とデザイン」などのテーマで講演やセミナーを各地で行う。
吉田田 タカシ(著)
アトリエe.f.t.代表。1977年生まれ。大阪芸術大学在学中の1998年、アートスクール「アトリエe.f.t.」を設立。2017年奈良県生駒市に転居。2021年「まほうのだがしや チロル堂」、2022年「トーキョーコーヒー」を開業。
石田 慶子(著)
一般社団法人無限 代表理事。1973年生まれ。2000年奈良県生駒市に転居。2012 年一般社団法人無限を立ち上げ、放課後等デイサービス事業を、2019 年就労継続 B 型支援事業を開始。2021年「まほうのだがしやチロル堂」を開業。
坂本 大祐(著)
合同会社オフィスキャンプ代表。1975年生まれ。2006年奈良県東吉野村に移住。2015年コワーキングスペース「オフィスキャンプ東吉野」、合同会社オフィスキャンプを設立。2021年「まほうのだがしやチロル堂」を開業。
アリソン 理恵(著)
建築設計事務所ARA主宰、コーヒーショップMIA MIA、カルチュラル・キオスクI AMを夫婦で共同経営。1982年生まれ。東京工業大学大学院博士課程単位取得退学。オーストラリア、日本の設計事務所勤務を経て、2015~19年teco共同主宰。2020年ARAを開設、コーヒーショップ MIA MIA開業。生活者の視点から、まちを自分たちの場所として整え繕う「まちの営繕」を実践中。
ヴォーン(著)
コーヒーショップMIA MIA、カルチュラル・キオスクI AMを夫婦で共同経営。1983年生まれ。オーストラリア・メルボルン出身。2001年初来日。2009年再来日し、音楽活動、文化服装学院での英語講師などを務める。日本のコーヒーカルチャーを世界に発信するライター、インフルエンサー、モデル、音楽プロモーター、イベント企画、コンサルタント等、100の顔を持つ。
戸所 信貴(著)
一般社団法人TEN-SHIPアソシエーション代表理事。社会福祉士・介護支援専門員。2007年より高齢者の総合相談を行う地域包括支援センターに勤務。2019年に退職しTEN-SHIPアソシエーションを設立。商店街で「まちのお手伝いマネージャー」を運営しつつ、2024年「笹塚十号のいえ」を立ち上げる。
左京 泰明(著)
一般社団法人マネージング・ノンプロフィット代表理事、一般社団法人TEN-SHIPアソシエーション理事。1979年生まれ。早稲田大学卒業後、住友商事株式会社に入社。2006年NPO法人シブヤ大学を設立。2017年マネージング・ノンプロフィットを設立。2024年「笹塚十号のいえ」を立ち上げる。
中野 瑞子(著)
株式会社URコミュニティ浦和住まいセンター ウェルフェア業務課課長。1976年生まれ。東京工業大学大学院修了。独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)入社。2022年日本総合住生活株式会社へ出向し、「団地キッチン」田島の開業に携わり、コミュニティ拠点の企画運営を担当。2025年株式会社URコミュニティへ出向。
上野 雅佐和(著)
日本総合住生活株式会社住生活事業計画部。「団地キッチン」田島コミュニティマネージャー兼醸造長。1987年生まれ。早稲田大学卒業。サブゼネコンを経て2021年日本総合住生活株式会社入社。2022年より「団地キッチン」田島に建築職として携わったのをきっかけにクラフトビールの醸造に取り組む。
色部 正俊(著)
シェルターインクルーシブプレイス コパル館長。1963年生まれ。山形大学教育学部卒業後、小学校に36年間勤務。山形市の小学校教頭在職時、コパルのプロジェクトにときめき早期退職を決断。1年間の準備期間を経て、2022年より館長として「目の前の一人の笑顔を実現する!」というインクルーシブ理念を追い続けている。
村上 豪英(著)
一般社団法人リバブルシティイニシアティブ代表理事/株式会社村上工務店代表取締役社長。1972 年生まれ。京都大学大学院理学研究科生態学研究センター修了。シンクタンクに勤務後、1999 年村上工務店に入社。2003年に株式会社リバーワークスを設立し、社会実験「アーバンピクニック」の企画運営のほか、神戸のまちと関わるさまざまなプレイスメイキング・プロジェクトに参画。
日下田 伸(著)
Social-D(社会計画研究所)代表、一般社団法人前橋デザインコミッション前企画局長兼事務局長、宇都宮大学客員教授。博士(工学)。1966年生まれ。筑波大学卒業、日本大学大学院/宇都宮大学大学院修了。清水建設を経て、星野リゾートで旅館再生事業を立ち上げて以降、事業再生プロフェッショナルとして活動。2020~25年、前橋のまちづくりに従事。
平賀 達也(著)
株式会社ランドスケープ・プラス代表取締役。一般社団法人ランドスケープアーキテクト連盟会長。1969年生まれ。ウェストヴァージニア大学ランドスケープアーキテクチャー学科卒業。株式会社日建設計を経て、2008年ランドスケープ・プラス設立。主な作品に南池袋公園、馬場川通りアーバンデザインプロジェクトなど。グローバルに支持されるローカルな価値づくりを実践している。
入江 智子(著)
株式会社コーミン代表取締役。1976年生まれ。京都工芸繊維大学卒業後、大東市役所に入庁。在職中の2016年に大東公民連携まちづくり事業株式会社(現・株式会社コーミン)立ち上げる。駅前道路を活用した「大東ズンチャッチャ夜市」、市営住宅の建て替えに伴うまちづくり「morineki」など、まちとまちを使う人を元気にする事業を手がける。
大島 芳彦(著)
株式会社ブルースタジオ・クリエイティブディレクター。1970年生まれ。武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業。2000年より株式会社ブルースタジオにて遊休資産の再生・価値最大化をテーマとした建築企画・設計、コンサルティング事業を開始。近年では団地再生、中心市街地再生など都市スケールの再生プロジェクトなどにも取り組む。
小笠原 康則(著)
盛岡ローカルハブ株式会社企画部長。1962年生まれ。1985年盛岡市役所入所、2023年に市役所を定年退職後、盛岡ローカルハブ株式会社入社。盛岡地域交流センターの営業企画部特命部長兼ローカルハブ事業課長も兼務。
岡崎 正信(著)
株式会社オガール代表取締役。1972年生まれ。大学卒業後、地域振興整備公団(現・都市再生機構)入団。2002年家業の岡崎建設株式会社を継ぐために退団。故郷の紫波町で企画立案から携わった「オガールプロジェクト」は官民連携まちづくりの注目事例として全国的に知られる。現在は、株式会社オガール代表取締役、岡崎建設株式会社専務取締役、一般社団法人公民連携事業機構代表理事も務める。
浅沼 尚(著)
デジタル庁参与(前デジタル監)。1976年生まれ。慶應義塾大学大学院総合デザイン工学専攻修士課程修了。2001年株式会社東芝入社。2018年Japan Digital Design株式会社入社、Chief Experience Officerに就任。慶應義塾大学大学院総合デザイン工学専攻博士課程修了。博士(工学)。2021年9月デジタル庁CDO(Chief Design Officer)就任。2022年4月デジタル庁デジタル監就任。2025年11月より現職。
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