なるべく働きたくない人のためのお金の話
在庫あり (1)
「多動力」なんてないし「私たちはどう生きるべきか」と考えるうちに気がつくと昼寝になってしまっているような、そんな弱い私たちの「生存戦略」。
著者が隠居生活の中で、お金と人生についてゼロから考えた記録。将来に不安や心配を感じる人へ向けた、もっと楽に生きるための考え方がこの1冊に詰まっています。
巻末対談:鶴見済×大原扁理「豊かさって何だろう?」
【まえがき】
はじめまして。大原扁理と申します。
私は二五歳から約六年間、東京郊外の小さなアパートで隠居生活をしていました。
隠居生活といっても、落語や講談に出てくるような江戸時代のご隠居さんとは違います。私の場合は、社会との関わりを最小限にして、基本的に週二日働き、年収は百万円以下で暮らす、という感じです。ITや株などの特殊能力もありませんが、親や国に頼ることもなく、普通にハッピーに暮らしていました。
こういった生活について他人に話すと、「よくそんなんで生きていけるね」という反応が返ってくることも多く、たしかに数字だけでは、私にも無理っぽく見えます(「経済的に」という意味のほかに、「人として」というニュアンスが言外にあることには気づいていますが、とりあえず置いておきます)。
でも実際に年収百万円以下で生活してみると、頭の中だけで考えることと実感することはずいぶん違うなあ、というのが正直な感想です。
やってみなければわからなかったであろうことの中でも、とくに新鮮な発見だったのは、「年収が年々下がって底打ち状態になったのに、それにつられてお金に対する不安も減っていった」ということでした。頭では、年収が下がれば経済的な不安は増す、と考えるのが普通だと、私も思います。
とはいえ隠居をはじめてから、いきなり経済的な不安がなくなったのかといえば、そんなことはまったくありませんでした。これで生きていけなくなったらどうしようと心配しながら、トライ&エラーを繰り返し、地道にひとつずつ、それが自分にとって本当に必要なものかどうかを確かめる――。誰からの「いいね!」もない、どこに着地するかもわからない、でもやる、そんな孤独な作業の積み重ねだったように思います。
隠居生活を始める前は、東京都杉並区に住んでいました。ほとんど毎日なにかしらのアルバイトをしていて、月収は平均すると一一万円(手取り)くらいはありました。しかし、この収入から生活費や税金を引くと、お金はほとんど残りません。当時は経済的にも精神的にも余裕がなくて、しんどくて仕方なかった。
毎日働いて一一万円稼いでもカツカツなのに、これ以上収入を下げたら生きていけるはずがない――。
そう思っていたはずなのに、現在は月収七万円でもハッピーに生きている。
これはどういうことなんだろう? 東京で隠居生活に至るまでに、私の何が変わり、何が変わらなかったのか。
先に「東京郊外の小さなアパートで隠居生活をしていました」と過去形で書いたのは、東京のアパートをすでに引き払い、現在は台湾で隠居をしているからです。
ですからこの本では、わかりやすい線引きをするため、二〇一〇年一二月に東京郊外・国分寺市のアパートに引っ越した時を隠居のスタートとして、二〇一六年九月にひとまず終了するまで(台湾に移住するまで)の約六年間を振り返っていきます。
その隠居生活のなかで体験した、「年収が下がるにつれて経済的不安からも解放される」という不思議な現象の当事者として、あの頃の私が、どう考え、行動し、お金に対する考え方や接し方がどんなふうに変わっていったのか。
そうしたことを、記憶が確かなうちに記録しておきたいと思ったのが、この本を書くきっかけになりました。
実は今回で、本を書かせていただくのは三冊目になります。
『20代で隠居 週休5日の快適生活』(2015/K&Bパブリッシャーズ)は隠居生活のことを中心に書き綴った、詳細な記録のような本です。
続く『年収90万円で東京ハッピーライフ』(2016/太田出版)では隠居生活に加えて、世間の常識や当たり前と思われていることに対して、子どものころから現在まで私が何を考え、実感をどんなふうに行動にうつしてきたか、ということを書きました。
ですから、あらためてお金に関して書くというのは、これが初めてです。
初めてどころか、お金について私が知っていることは、自分の経験から得たごく小さな範囲のことだけです。それでも、私が発見したことを書くことで、読んでくださった方の、お金との向きあい方を、ひいては自分のあり方を、見つめ直す何かしらのヒントになれば、こんなに嬉しいことはありません。
では、さっそく始めます。
一緒に隠居しているような気持ちで、気楽にページをめくってみてください。
【出版社より】
自由な時間こそ、生きる価値です。
似合っていない働き方は、潔く捨てましょう。
貯金の額をほめられるよりも、生き方をほめられた方がうれしいですよね?
と、世間で「普通」とされている価値観を揺さぶりつつ、究極のファイナンシャル・リテラシーを教えてくれる教科書です。
「読んでいたら気持ちが楽になった!」という読者からの反響をたくさんいただいています。
北尾修一(百万年書房)
目次
序章 隠居生活のアウトライン
第一章 まずはつらい場所から抜け出す
第二章 落ち着いた生活をつくりあげる
第三章 手にしたお金で、自分はどう生きたいのか?
第四章 お金に対する見方・考え方の変化
第五章 お金と話す、お金と遊ぶ
対談 鶴見済×大原扁理「豊かさって何だろう?」
ページ数
192
判型
四六判
著者プロフィール
大原扁理(著)
1985年愛知県生まれ。25歳から東京で週休5日の隠居生活を始め、年収100万円以下で6年間暮らす。現在は台湾に移住し、海外でも隠居生活ができるのか実験中。著書に『20代で隠居 週休5日の快適生活』『年収90万円で東京ハッピーライフ』。
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